第2期/蛇行する街路

欧米文化との交差点、個性的な商店街。

弊社が長くまちづくりに関わってきた「横浜元町商店街」の事例を紹介します。
元町は横浜の開港以来、日本と欧米文化の交差点として、様々な変遷を経て発展してきた商店街です。メインストリートとなる全長600mの元町通りには、約230の店舗が並びます。その間口の平均は5m。店舗の建替え・新築の度に元町商人たちの厳しい目が光り、より個性的なファサードが求められました。

第1期 – 店舗をセットバック

最初のまちづくりは、昭和30年代にまで遡ります。その内容は、歩行者空間を確保するために店舗1階の壁面を1.8mセットバックし、街路として提供するというものでした。商人たちにとって、大切な売場スペースを削ることは苦渋の選択でしたが、この形態で平均間口5mの店が立ち並ぶことで、個性豊かな元町の景観が生まれました。

第2期 – 蛇行する街路

店舗をより際立たせるため、電線を地中化し無意味なストリートファニチャーを廃した。利用客の車は排除せず、車速を抑えることができるボンエルフ型の道路線形(蛇行する街路)を採用。休日には通りを歩行者天国にするが、当時流行した歩行者専用の街路にはせず車との共存を選択した。「多くのお客様が、安全かつ快適にお買い物ができる」そんな街路づくりを考えました。

第3期 – ソフト面の強化

第2期で実施したハード面のリニューアルを行うとともに、今後のソフト面の強化に主眼をおき、現在もなお進行中。

フェニックスアーチ
「蛇行する街路」と「フェニックス・ゲート」

いまでは元町のシンボルにもなっている「蛇行する街路」と街の両端にある「フェニックス・ゲート」は、弊社プロデュースにより創作・施工したものである。 建設大臣・通産大臣表彰/神奈川県知事表彰/第1回横浜市街並景観賞受賞/SDA賞特別賞受賞(日経アーキテクチュア'85.1号掲載/新建築'85.12号掲載)

元町SS会の元理事長が語る、横浜と元町への想い
  • 開港150周年(2009年)を一過性のもので終わらせず、開港200周年まで毎年周年行事を継続したい。
  • まちづくりを進めるには、街・商店街・地域・地区の人間が、自ら動き汗をかかなければならない。
  • 「開かずの踏切」は、受益者がお金を出せば開けられる。
  • 商売、まちづくりは人(行政や国等)に頼らず自分たちでやる。助けてくれるのはお客様。街が行政を利用し、行政が街を支援する環境をつくれば良い。
  • SMAG(新宿、元町、浅草、銀座の有志によるまちづくりの会)の地域間交流による回遊性の向上は絶対に必要。横浜にお客さんが大勢来ることが大事である。